眠りを極める

眠りと目覚めのリズム

体内時計は25時間?

私たちの体内には眠りの時計が備わっています。体内といっても胴体ではなく実際は脳なのですが、「体内時計」という言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。夜になると眠くなり朝になると目が覚めるのは、この体内時計のおかげなのです。

眠りと目覚めは、約一日のリズムで交代しています。そして、このリズムは脳の視床下部(ししょうかぶ)と呼ばれているところで作られています。この視床下部の、前の部分には眠りを誘う睡眠中枢(すいみんちゅうすう)があり、後ろの部分には目覚めを促す覚醒中枢(かくせいちゅうすう)があります。さらに、視床下部には視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経細胞の集まりがあって、一日のリズムを作りだしているのです。これら3つの共同作業によって、一日の睡眠覚醒周期ができています。

こうしたリズムができてくるのは私たちが生まれて6ヶ月くらい経過してからであり、赤ちゃんが昼夜を問わず眠りと目覚めを繰り返しているのは、まだ3つの連携がうまく行われていないからです。体内時計も中学生になる頃には大人と同じようになります。

しかし、体内時計は、私たちが社会で生活していく上での24時間と同じではないのです。体内時計がどれくらいの周期なのかというと、それは、だいたい25時間だといわれています。およそ1時間のずれは、毎日太陽の光を浴びることで補正されているのです。

朝型と夜型

インターネットの普及、24時間放送しているテレビなどの影響により、昔と比べると夜型の生活を送っている人がかなり増えました。

『夜型』というのは、午前中は調子が悪く、昼過ぎから頭がスッキリしてきて夕方を過ぎる頃にエンジンが全開になるタイプです。対して『朝型』は、太陽が昇るとともに起き午前中から好調、夕方を過ぎる頃には活動量が低下し始め、夜10時には眠くなるというようなタイプです。

朝型の生活を送る人と夜型の生活を送る人では、体温の変動に違いがあります。夜型の人は、体温が最も高い時刻が、朝型の人よりも5時間くらい遅くにずれています。朝型の人の体温が一番高い時間が15時くらいですから、夜型の場合には20時くらいとなります。これは、朝型の人の体温が下がってきて眠りの準備が始まる頃に、夜型の人はまだまだ元気!ということです。

もちろん、職業がら夜に頑張って働いている人もいるわけですから、いちがいに夜型が悪いというわけではありませんが、「昼間は活動し夜間は休息する」という人間本来の生活に逆らっています。

昔から、日が出たら起床し日が沈んだら眠る生活に馴染んできた人間の心と身体の機能は、日中に高まり夜になると低下するのが自然です。これまでの調査や実験の多くで、昼夜を逆転して生活している人の昼間の睡眠では、休息が不十分であるという報告がされています。

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