眠りを極める

睡眠中の体

睡眠中も体は活動している

人が眠っている間は安静な状態であると一般的に思われていますが、私たちが眠っている時の体の状態は案外不安定です。

脳波、眼球運動や呼吸運動などを同時に記録することができるポリグラフ記憶というものを使って普通の健康状態の人を調べた場合、血圧を見てみると、眠りについたあと低下しますが少しずつ上昇し、朝方にも上昇することがわかっています。心拍数は、眠りによって減ってはいきますがレム睡眠の時に一時的に急増します。呼吸数もレム睡眠になると早くなって、不規則になります。レム睡眠では夢を見るので、これらのことから、夢の中で怒ったり泣いたりしている時に対応していることがわかります。

発汗の状態を見てみると、胸部で入眠時に増え、だんだん減っていき、朝方に最も少なくなります。皮膚の温度は、額(おでこ)が低く手足が高い、いわゆる頭寒足熱型です。体温は睡眠時には下がりますが、これは、エネルギー節約のためです。

胃腸の働き、胃液の分泌は、睡眠中は減少します。成長ホルモンをはじめ、副腎皮質ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなどは分泌量が増えます。また、寝返りをうったり、手足が細かくピクピクするような運動が見られます。皆さんが知っているように、寝言を言ったり、歯ぎしりをする人もいます。

眠っている間に成長する

毎日の睡眠時間は人によって違うものですが、年齢によっても、かなり異なるのを知っているでしょうか?大きくいって、新生児が18時間、10歳児で10時間、成人になると7~8時間といったくらいです。子供のうちの睡眠時間が長いのは、睡眠と体や心の成長に関係があるからです。大人にもいえることですが、深い眠りは特に、体の機能を回復させ、成長を促進し、心の健康を維持するのにも役立っていることがわかっています。子供の場合この深い眠りは長く続くのですが、大人になるに連れて少しずつ減少し、老人になるとほとんど無くなってしまいます。

「寝る子は育つ」などといわれますが、この深い眠りの時に成長ホルモンが放出されるので子供はすくすくと成長していくのです。また、健全な心の発育のためにも睡眠は重要で、深く眠るための環境も、子供の成長にとって大切なものです。

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