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女性の快眠にはホルモンコントロールが効く

女性の生理周期と睡眠リズムの変化

男性には見られない、女性ならではの睡眠の悩みがあります。働く女性が増えていく流れは続くでしょうから、女性が女性特有の不調と上手につきあいながら働くことができる環境作りは、ますます重要になっていくでしょう。

また、主婦として家事に子育てに忙しい毎日を送っている女性の中にも、周期的な体調の変化にお悩みのかたがいらっしやるかもしれません。
ここでは女性特有の睡眠の問題を医学的に解説して、対策をお話ししたいと思います。女性だけの問題は、もちろんありません。

女性は生理前に日中眠くなるかたがたくさんいらっしゃいます。生理前のイライラ、更年期の抑うつと不眠は日常の診察の現場でしょっちゅう出合う症状ですが、生理前の眠気は見過どされがちです。

では、どうして生理前は眠くなるのでしょうか?まずは女性ホルモンの影響が考えられます。生理前は黄体期といって、生理のあとの卵胞期よりも基礎体温が高くなります。高いだけではなく、1日の中でも深部体温の変動が激しく、不安定なのです。

体温が下がってくると眠くなると、体温が不規則に上がったり下がったりしていては、睡眠が安定するはずがありません。そのため、夜の睡眠が浅くなり、必然的に日中眠くなる、といった問題が生じてくると考えられます。

基礎体温記録することで、体調に合わせた生活も可能に

規則的な月経周期でも問題ナシというわけにはいかないのですから、生理不順のかたがつらいのはなおさらです。子宮筋腫や子宮内膜症でも月経周期は乱れますが、ストレスによっても月経周期が不規則になってしまうのは、ほとんどのかたが経験されるはず。

ストレスや疲労対策も、間接的ですが大切です。毎日の基礎体温を記録し、その体温表に睡眠時間を付け加えて書いてみるのも有効な方法です。

自分の月経周期と睡眠の変化の周期性は、記録していくと数字ではっきりわかってきます。月経前の不調も、個人差が大きいですが、かなりつらい症状をお持ちのかたも多いと思います。調整できる仕事ならこの時期は重要な仕事は避け、卵胞期など比較的好調のときに回すのも、マネージメントとしては賢いと思います。

楽しい休暇もできれば不調なときは避けたいですが、生理が規則的なかたは逆算が可能なので、試みる価値はあると思います。

不調な時期を少しでもラクに過ごして快眠するには?

月経前の過どし方ですが、一般的過ぎてつまらないかもしれませんが、規則正しい生活がいちばんです。朝の光を浴びる、夜更かししない、バランスの取れた食事、適度な運動。こうした地道な努力がいちばん有効なのです。ストレス対策ももちろん重要です。

オンとオフとをはっきりきせて、こまめなリフレッシュで気分を変えましょう。最後に更年期の話を少し。閉経期の女性の約半数が不眠になるといわれています。

更年期の症状といえば、ほてり、発汗、動悸が代表的です。これが原因で睡眠への不安、心配が強くなhソます。更年期では女性ホルモンが減ってしまうだけでなく、子どもの独立やからだの衰えなどのストレスにさらされます。

社会的責任が重い更年期の女性も少なくないと思いますが、頑張り過ぎは禁物。適度な休養とリフレッシュを若いころ以上に心がけましょう。ホルモン補充療法も有効といわれていますので、症状がひどい場合にはレディスクリニックなどの婦人科を受診しましょう。

寝酒はほどほどに。寝付きはよくても、眠りを浅くしてしまいます

深酒のあとは、なぜ、異常に早く目が覚めてしまうのでしょう?

わたしは、大のお酒好きです。ビールからワイン、日本酒、焼酎、シングルモルトなど、幅広く楽しんでいます。ですから、アルコールが睡眠に与える影響についても、なんとかいい話をしたいのですが。

残念ながら、お酒は、睡眠にはよい効果をもたらきないようです。この本を手に取られたみなさんの中で、「寝酒」の習慣があるかたはいらっしゃるでしょうか。
睡眠とアルコールでも少し触れていますが睡眠にアルコールはいい影響を与えません。

2001年にフランスの製薬会社サノフィ・アベンティス社が行った国際調査によれば、日本人の不眠の対策としてはアルコールが第1 位で19.5 % でした。

約2割近くのひとが、寝酒を飲んで寝ていることになります。欧米では寝酒のことを「ナイト・キャップ」といい、ブランデーやリキュールなどの高アルコール度数の酒がよく使われます。

ちょっとだけ飲むにはいいお酒ですが、日本では高アルコール度数のお酒は、あまり見かけません。日本産のブランデーがあったとしても、寝酒は睡眠全体のことを考えると、やはりおすすめできません。

寝付きは確かによくなりますが、アルコールはからだの中で比較的早く分解・代謝されるため、睡眠の途中でアルコール不足で落ち着かなくなってしまう状態、いわゆる「離脱症状」が出てしまうのです。

その結果、深い睡眠が少なくなり、また、アルコールのために睡眠前半では抑制されていたレム睡眠が、夜明けにリバウンドして出現量が増加します。お酒を飲んだ次の朝、早く目覚めてしまうのは、そのためだと考えられます。アルコールのからだへの影響もバカにできません。

アルコールは利尿作用があるので、夜中のトイレの原因になってしまいます。これも睡眠の大きな障害となります。ちなみに、「飲んだ夜だけいびきが大きい」といわれたことのあるかたもいらっしやると思いますが、これは、アルコールで舌の付け根の筋肉の緊張がほぐれ過ぎてしまい、結果的に喉の空気の通り道をふさいでいびきが大きくなる、という現象です。

当然睡眠は浅くなるので、次の日はボーッとしている時間が長くなります。

睡眠にとって、アルコールは「いいことなし」

睡眠だけを取り上げてみれぼ、アルコールは悪いことばかりです。しかしハーバード大学公衆衛生大学院の研究では、適度にお酒を飲むひとのほうが、まったく飲まない下戸や大酒飲みより生存率が高いという報告を出しています。

赤ワインに含まれるポリフェノールやレスベラトロールは、動脈硬化予防に効果的であることが知られています。白ワインにも、整腸効果があるといわれています。日本酒を楽しむひとは肌がきれいとはよくいわれますが、麹などの日本酒の成分に美肌効果があるのかもしれません。

おそらく適度にアルコールを摂っているひとは、社会的なコミュニケーションも良好であり、「みんなで語らいながら楽しいお酒」をエンジョイしているかたが多いのではと思います。

そうした飲み会のメンタルへのプラス効果もあるとは思いますが、逆にいえば、メンタルにとっても睡眠にとっても、無計画でなにをどれくらい飲んだかわからなくなるような二次会への参加はおすすめできません。楽しい仲間、おいしい食事、適当な量のおいしいお酒、そして時間を守って家に帰って寝るのが、睡眠への悪影響も比較的少なく、ビジネス的にも健康にもおすすめというわけです。

必須アミノ酸を多く摂れる大豆、魚介類、肉類、乳製品は、睡眠には効果大

必須アミノ酸からメラトニンができる

食事メニューの話に入る前に、もう一度、眠りのホルモン・メラトニンについてです。メラトニンは夜になると、脳の松果体から体内に分泌されます。

アメリカのドラッグストアではサプリメントとして普通に売っています。渡米したときに記念に買ってみたことがりますが。価格は7ドルくらいでした。
睡眠ホルモン「メラトニン」

メラトニンが睡眠薬や胃薬と違うところは、人間のからだの中で自然に作られる物質であるということです。もちろん製薬会社で合成して生産することは可能なのですが。では、人間のからだの中でメラトニンが作られるためには、なにが必要なのでしょうか?

メラトニンのもとになるのは、抑うつや不安に関係する神経伝達物質、「セロトニン」です。化学の教科書では、メラトニンはセロトニンから作られると説明されています。

セロトニンは昼間に分泌されるのですが、昼間にセロトニンの分泌量が少ないと、夜に作られるメラトニンの量が少なくなってしまいます。つまり、「セロトニン不足=メラトニン不足」となってしまうわけです。

大豆、魚介類、肉類、チーズは、よい睡眠をつくる

では、セロトニンはなにからできているのか?答えは、トリプトファンというアアミノ酸です。このトリプトファンは、必須アミノ酸と呼ばれています。なぜ必須かというと、自力で体内で作り出すことができず、食べたり飲んだりして外から補給しないといけない物質だからです。

したがって、トリプトファンを多く含む食べ物が、睡眠にいいわけです。トリプトファンは、大豆、魚介類、肉頬などのタンパク質、チーズなどの乳製品にたくきん含まれています。セロトニンを作るときに働くビタミンB12も、これらの食品に多く含まれています。
睡眠とビタミンの関連性

バランスの取れた食事でコレステロールを減らす

しかし、納豆や豆腐ばかり食べていれぼ眠れるようになる、というわけではありません。あくまでバランスの取れた食事が大切です。

肉類や乳製品ばかり食べていたのでは、コレステロール値が上昇します。「大丈夫、オレは日本食中心だ」といっても、醤油や味噌、漬け物など塩分が多いと、高血圧になってしまいます。

コレステロールと高血圧は動脈硬化の大きな原因になります。動脈硬化は、心臓だけでなく脳の動脈も硬化させてボロボロにしかねません。大豆を食べればすぐに眠りに落ちる、というわけにはいきませんが、食事は長期的に見ると、睡眠にじわじわ効いてきます。

さらに、メラトニンの分泌は、子どものころに多いことがわかっています。したがって、子どもの夜更かし、偏食が重大なダメージを残すことにも注意すべきでしょう。

子どものころの夜ふかしがメラトニンとセロトニンの分泌を阻害し、キレる人間になりやすいなどの致命的で回復できないダメージを残す、という仮説を提示しています。食育は眠りの質を上げるために大切な要素であることはもちろん、健康や教育、ビジネスにもたいへん重要であることを強調しておきたいと思います。